モグラは植物に被害を及ぼす可能性があり、時には害獣として扱われる生き物ですが
農業や林業に被害がある場合を除き、許可なく捕獲・駆除することは禁止されています。
モグラを保護しているのは、現在も鳥獣保護法という名称でよく知られている法律です。
実際には、現在は鳥獣保護法という呼び方ではなく、鳥獣保護管理法と呼ぶのが正解です。
こちらでは、モグラが鳥獣保護法で保護されている理由についてご紹介します。
もぐら目もぐら科全種は、農業又は林業の事業活動に伴い、やむを得ない場合のみ、環境大臣又は都道府県知事の許可なく捕獲・採取が認められています。(つまり、例えばモグラにより農業への被害があった時は許可なく捕獲が可能です)
それ以外の理由でモグラの捕獲等を行うことは『鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則』により禁止されていますので、規則をご確認のうえで対策をたててください。
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則のもぐら目もぐら科全種に関する取扱いについては、第十二条、第十三条を参照してください。
以前は鳥獣保護法で保護されていなかったモグラ
鳥獣保護法の起源は古く、1873年の鳥獣猟規則がその始まりとされています。
その後様々な法改正を経て、1963年に鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律と改められました。
2002年には法律がひらがな書きに改められるとともに、法律の内容も変わりました。
鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律は、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律へと改められ
この時に対象鳥獣に関する内容も改正され、新たにモグラが追加されることになります。
それまでは、ネズミ、モグラ、海棲哺乳類などがこの法律の対象外となっていました。
なぜモグラは鳥獣保護法の対象になったの?
モグラが追加された経緯については、環境省の以下の資料の中に説明があります。
次は、ネズミ・モグラ類である。これらは農林業に被害をもたらし、日常的な捕獲が想定されるとして対象鳥獣から外していたようである。しかし、ネズミ・モグラ類には希少な鳥獣も含まれるので、農林業への影響だけで判断するのではなく、広く社会全般にわたって積極的な捕獲を許容すべきものがあるかどうかを改めて検討した。
「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」のひらがな書き化の顛末(2002 年)|黒田 大三郎
このような理由から、2002年の改正の際にネズミやモグラも鳥獣保護法に追加されました。
鳥獣保護法から鳥獣保護管理法へ
かつて鳥獣保護法と呼ばれていたものは、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律です。
ですが二ホンジカの急増や生息域の拡大などから農業への被害が大きくなってきたこともあり
鳥獣からの被害を防止するために、生息数や生息息の適正な管理が必要になりました。
こういった背景から、従来の鳥獣保護法に『管理』を促進する措置を導入するため
2014年の法改正で鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律となりました。
それまでは鳥獣保護法でしたが、2014年の法改正により鳥獣保護管理法となりました。
モグラの捕獲等については、鳥獣保護管理法施行規則の第十二条、第十三条に記載があり
農業や林業に被害が出ている場合であれば、許可なく捕獲・駆除が可能となっています。